パニック障害とは?

こんにちは、ひかり堂院長の齋藤です。

当院には「パニック障害」で苦しんでいらっしゃる患者さんが多く来院されます。

今日は以前投稿した「パニック障害」の内容について少し修正を加え改めてお伝えします。

パニック障害とはどんな病気なのでしょうか?

<パニック障害とは?>

突然激しい動悸や息苦しさ、過呼吸、発汗、ふるえ、めまい、吐き気などが起こり、「このままでは死んでしまうのではないか?」という強い不安感に襲われる病気です。

この発作は「パニック発作」と呼ばれ、20分~30分くらいで治まりますが、何回か発作を繰り返すと、「また発作が起こるのではないか?」という強い不安感と恐怖を感じるようになります。

これを「予期不安」といいます。

予期不安はさらに過去にパニック発作を起こした場所や、人が大勢いるような場所で発作がおこったらどうしようという不安をよび、次第にそのような場所を避ける(行けない)ようになってしまいます。

これを「広場恐怖(外出恐怖)」といいます。

そして、

・パニック発作

・予期不安

・広場恐怖(外出恐怖)

はパニック障害の3大症状といわれています。

そしてこの3つの症状が悪循環となりさらに症状を悪化させ、次第に外出することが怖くなり家に閉じこもってしまうようになったり、うつ病を併発させたりし、日常生活に深刻な影響がでるようになってしまうのです。

<パニック発作がおこりやすい場所>

・電車に乗っている時

・車を運転している時

・人が大勢いるような場所(スーパー、駅など)

・閉そく感を感じる場所(エレベーター、美容院など)

・会議での発表等緊張する時etc

<パニック障害の原因>

パニック障害はパニック発作が何回か起こり、「脳や身体に何か異常があるのではないか?」と思い、病院で血液検査や心電図、MRIなどの検査を受けてもどこにも異常がないことが特徴です。

そして、パニック障害の原因はまだ明確に解明されていないのが現状です。

最近では、不安や恐怖に関連する脳内神経伝達機能に異常がおこることで発症するのではないかと考えられています。

具体的には不安や恐怖に関係している神経伝達物質「ノルアドレナリン」と興奮を抑える働きの「セロトニン」のバランスが極端に崩れることが原因と考えられるようになっています。

また、

・神経質や心配性といった性格

・極度のストレス

・遺伝的要因

・幼少期のつらい体験(虐待等)

なども発症の原因になるといわれています。

家族など周囲の方から「気持ちの持ちようだ」とか「マイナス思考だからだめなんだ」とかいわれるケースも多いですが、パニック障害は決して気持ちの問題ではないのです。

患者さん自身も「自分の気持ちが弱いからダメなんだ・・・」と考えてしまう方がまだまだ多いと感じています。

決してあなたが弱いからではありません。

ご自身を責めないでください。

早期に適切な治療をすれば大丈夫ですよ。

次回はパニック障害の治療についてお伝えします。

こころの病 ”○○障害”ってたくさんありますが・・・

こんにちは、ひかり堂院長の齋藤です。

精神的な疾患の中で名前に「○○障害」とついている病名が多いなぁと思っています。

気分障害、パニック障害、不安障害、適応障害、強迫性障害、ストレス性障害、身体表現性障害・・・

今週は患者さんからも「病院で○○障害と診断されました」といわれるケースが多ったです。

それぞれに特徴的な症状がありますが、共通した症状も非常に多くあります。

例えば強い不安感や動悸(過呼吸になる場合も)、ふわふわしためまい、寝付きが悪いとか夜中に何度も目を覚ますなどといった睡眠の問題も共通していることが多いと感じています。

そしてこれらの疾患に対する治療にはほとんど同じ薬が処方されています。

以前お伝えした「抗うつ薬」「抗不安薬」、そして「睡眠導入剤」は非常に多く処方されています。

西洋医学的にもこれらの疾患の根本的な原因は同じと考えられているのだと思います。

東洋医学的にはまずは“気”の異常という捉え方をします。

“気”とは生きていく上で必要なエネルギーのことで、この気の流れが悪くなったり、不足したりすることで心身に様々な不調があらわれると考えます。

気の異常には大きく3つあります。

①気うつ・気滞 - 気がうまく流れず滞った状態

②気逆     - 怒りやストレスなどで気が上昇している状態

③気虚     - 気が不足している状態

鍼灸治療ではこの気の異常を解消しスムースに澱みなく全身を流れる状態にしていく治療を行います。

そのために関係する“臓腑”(肝・心・脾・肺・腎など)のツボを選び、鍼や灸を施していきます。(例えば不安や恐怖という感情は“腎”の影響を受けるといわれています)

そして、最終的に身体全体の“気・血・水”がきちんと流れる状態にすることで心身の不調を解消していきます。

東洋医学の考えに基づいた鍼灸治療

鍼灸治療の特徴は、不安感には抗不安薬、不眠には睡眠導入剤といった対症療法的な治療ではなく、身体全体をみるという根本治療なのです。

あなたは対症療法と根本治療のどちらを選択されますか?

個人的には、例えばパニック障害の場合なら、薬である程度症状を抑えながら、減薬・断薬していく段階で鍼灸治療を始めていくのが最も早く回復していく方法だと感じています。

今 あなたがもし暗闇の中にいるとしてもきっと大丈夫ですよ。

抗うつ薬と抗不安薬の違い

松阪市の「自律神経」と「女性ホルモン」のバランスを整える鍼灸院・整体院

“心とからだのトータルケア”ひかり堂院長の齋藤です。

今日は抗うつ薬と抗不安薬の違いについて。

問診の際に患者さんから「安定剤を飲んでいます」といわれることが多いのですがそれは「抗うつ薬」なのか「抗不安薬」なのかをお聞きすると「えっ・・・?」という感じでよく理解されていない患者さんが意外と多いです。

抗うつ薬と抗不安薬は全く違う薬なのです。

<抗うつ薬>

現在では「SSRI」、「SNRI」という薬が主流となっています。

「SSRI」は脳内のセロトニンの再取り込みを、そして「SNRI」は脳内のセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで間接的にセロトニンやノルアドレナリンの濃度を高める働きをします。

即効性はなく、効果を感じるまでに2週間以上かかる場合がほとんどです。

最近では「ミルタザピン」という新しい薬が処方されるようになってきました。

これはセロトニンやノルアドレナリンの放出量に直接的に関与する働きがあります。

また、効果の発現までの期間が1週間程度と短いことも大きな特徴です。

<抗不安薬>

現在はベンゾジアゼピン系といわれる薬がほとんどで、主に不安を和らげ、筋肉の緊張をほぐし、焦燥感を緩和する効果があります。

具体的には脳内の「GABA神経」を活性化することで不安感に関与している脳のアドレナリン神経やセロトニン神経の過剰な働きを抑える働きをします。

即効性があり、15分~30分程度で効いてくるものが多いですが依存性が強いといわれており、長期間の服用は注意が必要です。

うつ病は抑うつ気分だけでなく、不安感やあせりなどの感情も重なっておこっているため「抗うつ薬」と「抗不安薬」の2種類が処方されることが大半となっています。

人間には本来不安感や恐怖感を和らげる力、気持ちの浮き沈みをコントロールする力が備わっています。

今抑うつ感や不安感などで苦しんでおられる方々も必ず良くなっていくと信じています。

この良くなっていく過程において、どのタイミングで減薬や断薬をしていくのかについては専門医とよく相談しながらやって頂きたいと思いますが、減薬や断薬の際には是非鍼灸治療を選択肢にいれて頂きたいと願っています。

うつ病に”鍼灸”という選択

こんにちは、ひかり堂院長の齋藤です。

今日はうつ病と鍼灸治療についてお伝えします。

現在のうつ病治療は当然ながら薬物治療が中心となっています。

そしてその薬はこのブログでもお伝えしてきたとおり「セロトニン」や「ノルアドレナリン」の脳内の濃度を高める作用の強い薬を処方することが一般的となっています。

「SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)」

「SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」

しかし、ほとんどの精神科のドクターは薬物だけの治療では限界があると考えておられ、薬物治療に他の治療をプラスした統合医療の重要性を訴えられています。

例えばカウンセリングなどの心理療法や認知行動療法、運動療法、音楽療法やヨガ、瞑想など様々な角度からアプローチすることで、うつ病からの早期回復と社会復帰、そして再発率の低下を実現しています。

そんな中鍼灸治療も大きな役割を果たしつつあり、海外では一定の評価と認知をされてきています。

(鍼灸ニュースより引用)

http://healing-studio.com/utusinnkyuuamerika.html

鍼灸治療によるうつ病の改善事例はたくさんあり、個人的には減薬や断薬をしていく過程においては鍼灸は非常に有効な治療のひとつであると確信しています。

うつ病を発症すると精神的にも肉体的にもつらく、何よりも日常生活に大きな支障がでてしまいます。

うつ病に対して、「薬物療法と鍼灸治療の組み合わせ」が広く浸透し、ごく一般的に選択されるようになってほしいと願っています。

薬物に依存することなく、自分自身の力で不調から回復していくことこそが本来の姿であり、鍼灸はその一翼を担うことができると考えています。

そのために鍼灸師のひとりとしてこれからも勉強と努力を怠らないよう頑張っていきたいと思っています。

女性にうつ病が多い3つ理由

こんにちは、ひかり堂院長の齋藤です。

今日は女性にうつ病が多い理由についてお伝えします。

うつ病の患者さんは男性よりも女性の方が多く、男性の約2倍といわれています。

思春期うつ、産後うつ、更年期うつ、介護うつ・・・・

女性特有のうつ病はそのライフステージによって色々な呼び方をされたりします。

なぜ男性よりも女性の方がうつ病になりやすいのでしょうか?

大きくは3つの理由があります。

1.セロトニンの分泌量が少ない

うつ病に大きな影響があると考えられている脳内のセロトニンの分泌量が男性の約50%程度であることがわかってきています。

これは感情をコントロールする力やストレスに対応する力、ストレスをやり過ごす力が男性よりも弱いということかもしれません。

2.ホルモンバランスの変化

女性は生理周期やいわゆる“更年期”の時期の身体の変化による女性ホルモンの分泌の変化の影響を強く受けます。

1ヶ月の中でも生理周期により、精神的な波があります。例えば生理後の卵胞期や排卵期はエストロゲンの分泌が活発で、心もからだもいきいきとして過ごせます。しかし黄体期におけるエストロゲンの分泌が低下しプロゲステロンの分泌が増加することによって、心もからだも不調になりやすくなるのです。

更年期の時期も同様にエストロゲンの分泌低下によるホルモンバランスの乱れから自律神経が乱れやすくなり、心にもからだにも不調がおこりやすい状態となります。

また更年期の時期には、子供の進学や巣立ち、仕事の事や職場の人間関係、夫婦関係、親の介護、将来への不安など様々な問題や悩みがいくつも重なってしまいやすい時期でもあります。

エストロゲンの減少という身体的な変化と社会的な環境の変化が重なり、うつ病を発症しやすい条件が揃ってしまうのです。

3.感情的に繊細でストレスを感じやすい

女性と男性では脳の構造が違うといわれています。

具体的には脳は右脳と左脳に分かれ、その2つをつなぐ橋のような「脳梁(のうりょう)」という部分があります。女性はこの脳梁が「大きく・短く・丸い」のだそうです。また同じく左右の脳をつなぐ「前交連(ぜんこうれん)」という部分も男性よりも太いといわれています。このことで右脳と左脳の結びつきが強く、女性の方が右脳と左脳の間に速く大量の情報を移動させることができるのです。

女性は同時に複数の作業をする能力やコミニュニケーション能力が男性よりも高いといわれているのは、この脳の構造的な違いがあるからなのです。

大量の情報や記憶などが瞬時に行ききすることは、感情や記憶などの情報も含まれているためストレスも感じやすく、感情に及ぼす影響が強くでるのです。

このように脳の構造や機能、女性ホルモンバランスの影響により、女性は男性よりもうつ病を発症する確率が高くなると考えられています。

女性の心とからだは本当にデリケートで繊細にできていると痛感します。