繊維筋痛症に対する鍼灸の効果とは?

こんにちは、ひかり堂の齋藤です。

今日は繊維筋痛症に対する鍼灸の効果についてお伝えします。

まず、「鍼灸」は鍼や灸による刺激に対する身体の反応を利用し、本来備わっている「自分で治していく力(自然治癒力)」を高めていくことで様々な痛みや不調を軽減していく治療法です。

そして多くの研究や検証から様々な効果が医学的に証明されるようになってきました。

<鍼灸の効果>

1.痛みを軽減する

人間が本来持っているモルヒネのような鎮痛物質(βエンドルフィン)の分泌を促進することで自分自身の力で痛みを軽減する

2.血流を改善する

筋肉を緩め血管を拡張させ、血流をよくする

3.精神的な安定を図る

幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」や感情に関与する「セロトニン」・「ノルアドレナリン」・「ドーパミン」の分泌を促進・調整することで精神的な安定を図り、不安感や恐怖感を軽減し、ストレスへの対応力を高める

4.自律神経をバランスを整える

交感神経の過緊張を抑え、副交感神経の働きを強めることで自律神経のバランスを調整する

 

前回線維筋痛症は「痛みに対する脳の知覚過敏が大きな要因」とお伝えしましたが、鍼灸ではこの「痛みに対する脳の知覚過敏」を主に上記の4つの面からアプローチし、肉体面と精神面の両面に働きかけていきます。

 

当院での症例は少なく、今まで3例で、重篤な事例は1名だけです。

この患者さん(Aさん 32歳 女性)は1年半ほど前に発症し、1年近く痛みでほぼ自宅で寝て過ごすような状態の時に来院されました。

会話の中でも「もう一生治らない」、「もう楽になってしまいたい」と話されるくらい精神的にもかなりネガティブで危険な状況でした。

 

当院で行ったことは以下の3点です。

①鍼灸と整体の施術

②マイナスの潜在意識をプラスに変えていく言葉かけ

③生活習慣の見直しのアドバイス

 

Aさんは、私のアドバイスを可能なかぎり実践して頂いたことやご主人の病気に対する理解と支援によって予想以上に早く改善していきました。

Aさんの場合は1回目の施術後に心身ともに少し楽になったということが良い影響をもたらしたのかもしれません。(私は治るかもしれないというプラスの感情)

<痛みの変化>

1ヶ月後 ― 痛みが10→7(5以下の日も有)

3ヶ月後 ― 痛みが10→5(3以下の日も多)

6ヶ月後 ― 痛みが10→3以下(痛みを感じない日も有)

治療開始から半年でほぼ痛みに囚われることなく生活できるようになり、今ではご主人と旅行に行ったり、英会話レッスンに行けるようなっています。

お薬も精神科の抗うつ薬、抗不安薬はもう全く服用せず、現在は漢方薬のみ服用されています。

 

この線維筋痛症は原因が不明で、明確な治療法もないため患者さんにとって本当につらい病気だと思いますが、決して改善・回復しないということはありません。

全国的にも薬物療法や運動療法、生活習慣の見直しなどを一緒にやっていくことで改善した事例がたくさんあります。

そして、その中で「鍼灸」は繊維筋痛症から回復していくために必要な要素が十分にあると感じています。

 

「線維筋痛症に鍼灸は効果がありますか?」と聞かれれば鍼灸師の私は

 

とても効果があります!!

 

と自信を持ってお答えします。

 

今 繊維筋痛症でつらくて苦しい日々を過ごされているあなたへ

決してあきなめらいでください、きっと大丈夫ですから。

 

はり・きゅう・整体 ひかり堂

三重県松阪市平生町25

(0598)21-1781

2019年11月7日 | カテゴリー : 病気のこと | 投稿者 : hikarido

「繊維筋痛症」という病気

こんにちは、ひかり堂の齋藤です。

当院にも「繊維筋痛症」と診断された患者さんがまれにいらっしゃいます。

あまり聞きなれない病名だと思いますが、レディ・ガガさんはじめ著名人でも患っている方は多くいらっしゃいます。

今日は「繊維筋痛症」についてお伝えします。

<線維筋痛症とは?>

3ヶ月以上の長期にわたり、背中や腰、腕など身体の広い範囲で激しい痛みを感じるが、血液検査や画像検査などの検査をしても特に異常がみられません。

激しい痛みの他に強いこわばりや疲労感、不眠、うつ症状など心にも身体にも様々な症状を伴う非常につらい病気です。

重篤な場合は、1日中寝たきりになり仕事や家事ができない状態になるなど日常生活に著しい支障をきたすことが大きな問題となります。

<線維筋痛症の原因>

現在のところ、原因はよくわかっていません。

有力な説として「痛みに対して脳が知覚過敏になっているのでは?」と考えられています。

通常では感じない程度の刺激に対して過敏に反応し、激しい痛みとして感じてしまうようになっているのではないかということです。

このような「脳の知覚過敏」は心理的・社会的ストレスや外傷(ケガ)がきっかけとなり発症することが多いといわれていますが、解明されていないことが多く、現在も様々な研究が行われています。

このように原因が特定できないため、線維筋痛症の診断基準も明確でなく、患者さんの痛みの強さや箇所、ストレス等患者さんの生活背景を総合的にみて医師が判断しています。

<線維筋痛症の治療>

線維筋痛症はすべての患者さんに共通した治療方法はありませんので、いくつかの治療法を組み合わせていきます。

1.薬物療法(文字どおりお薬によって症状緩和を図る)

2.運動療法(ウォーキング、ストレッチ、腹式呼吸、ヨガなど)

3.物理療法(マッサージ、鍼灸、温熱刺激、電気刺激など)

4.心理療法(カウンセリング、認知行動療法など)

これらの治療法を組み合わせ多面的なアプローチをしていくことで、患者さんの症状を少しでも和らげていくことが重要となっています。

<経過・予後>

原因や治療法が確立していないため、発症してからの経過や治り方は患者さんにより千差万別です。

痛みが軽減し、精神的にも全く不安なく日常生活を送っている方も多くいる半面、数年以上痛みや症状に全く変化がない方もいらっしゃいます。

当院にも症例数は少ないですが(3名)、繊維筋痛症でお悩みの患者さんが来院されてきました。

次回は当院の事例も含め、繊維筋痛症と鍼灸の可能性についてお伝えします。

はり・きゅう・整体 ひかり堂

三重県松阪市平生町25

(0598)21-1781

2019年11月6日 | カテゴリー : 病気のこと | 投稿者 : hikarido

”身体表現性障害”ってご存知ですか?

こんにちは、 ひかり堂の齋藤です。

突然ですが「身体表現性障害」という病気はご存知でしょうか?

聞き慣れない病名だと思いますが、当院にはまれに「身体表現性障害」と診断された患者さんが来院されます。

この病気は自律神経失調症と同じように、身体的な疾患や異常がないにも関らず様々な痛みなどの身体症状が持続する病気の総称です。

つまり、検査をしてもどこにも異常がないのに身体に痛みやしびれ、違和感などの症状があり、「どこも異常がない」という結果に納得できず「身体に異常があるはずだ」という考えを捨て切れず、こだわってしまい、ますます痛みなどの症状が悪化していく病気です。

私にはドクターが「自律神経失調症」と「身体表現性障害」をどのような基準で診断されるのかはわかりませんが、症状に対しての不安やこだわりなど“心的要因”が非常に強い場合は「身体表現性障害」と診断されるケースが多いように感じています。

当院では自律神経失調症や身体表現性障害と診断された患者さんにはまず

「どこにも異常がないのですから良かったですね。」

とお伝えしています。

検査でどこにも異常がないのですから、生命に危険が及ぶような重大な病気ではないということを理解して頂きたいからです。

ほとんどの患者さんはきょとんとした顔をされますが・・・

特に身体表現性障害の方には不安感やこだわりを和らげることを最も重視して治療にあたります。

自律神経の乱れや心身のストレスが要因であれば、それらが整えば必ず症状は治まります。

はい、そうです 必ず良くなります!!

それは鍼灸治療が最も得意とする分野だからです。

つまり鍼灸治療は自律神経を整え、患者さん自身の力で本来持っている”回復する力・治る力”を目覚めさせていくことに優れた治療だからなのです。

検査をしてもどこも異常がなく「自律神経ですね」といわれてお悩みのあなた。

是非お近くの鍼灸院を受診してみてください。

大丈夫ですよ、必ず良くなりますよ。

2017年6月6日 | カテゴリー : 病気のこと | 投稿者 : hikarido

起立性調節障害に対する鍼灸治療

お伝えしてきたとおり、起立性調節障害は自律神経失調症の一種ですから、鍼灸治療の適応疾患となりますし、是非鍼灸治療を受診して頂きたいと考えています。

 自律神経を整えていく方法は鍼灸師によって若干違いがありますので、当院での治療をお伝えします。

 当院では以下の3点に注力していきます。

○頚椎・背骨のゆがみを整え、脳脊髄液の流れを良くする → 整体施術

○体質に応じてツボを選び、“気・血・水”の流れを良くする→ 鍼灸治療

○生活習慣のアドバイスと「必ず良くなる病気」であることを理解して頂く

 すごく抽象的な表現ですが、いわゆる体質を改善していくことで人が本来持っている恒常性が正しく機能していきます。

恒常性とは、様々な環境の変化に対応して体温や血糖値など体内環境を一定の範囲内で維持する機能であり、自律神経や内分泌ホルモンの働きによって保たれています。

 この起立性調節障害(自律神経失調症)は残念ながら「薬」は対症療法で一時しのぎであり、根本的に体質を変えていくことでしか解決しないのです。

 鍼灸治療は少しずつゆっくりと患者さん自身のちからで体質を改善していくことをサポートしていく治療です。

体質を改善していくことは時間がかかりますが、少しずつ確実によくなっていきます。

 あとで振り返ってみると、思春期の時期の半年、1年なんてそんなに長い時間ではないと思います。

 どうかお父さん・お母さんこそが焦らず、ゆったりと見守って頂きたいと思っています。

 そして、起立性調節障害でお悩みなら、お近くの鍼灸院に相談してみてくださいね。

 きっと「鍼灸治療を受けて良かった」と思ってもらえると思いますから・・・

起立性調節障害の治療

今日は起立性調節障害の治療について。

起立性調節障害の治療は薬物療法と生活習慣の見直しと改善の2つを行うことが一般的ですが、生活習慣の見直しが重要となります。

薬物療法では「血管を収縮させ血圧を上げる」薬を使います。

しかしこれはあくまで対症療法となります。

起立性調節障害は自律神経の乱れによる交感神経と副交感神経の切り替えがうまくできないことが原因ですので、自律神経を整えることが根本的な解決となります。

朝起きて、夜眠るために一番良いのは、朝日を浴びながら30分程度ウォーキングをすることでセロトニンの分泌を促すことといわれています。

しかし、現実問題として朝起きれないケースがほとんどのため、起床と就寝の時間を少しづつ早めていくことから始めます。

具体的には起床・就寝時間を3日ごとに30分づつ早めていくことで、少しずつ本来の生活リズムに合わせていきます。

たとえ起きれなくても家族の方が部屋のカーテンを開け朝日を取り込むことが大切です。

余談ですが、最近は「光で起こす目覚まし時計」というものがあるらしいです。

そして、夜眠りやすくなるために、9時以降はパソコンやスマホを見ずに過ごす。

これはいわゆる“ブルーライト”を避けることで交感神経への刺激を減らし、副交感神経の活動を高める目的で行います。

そして日中の交感神経を活動的に働かせるために、

○体調のよくなる午後に軽い運動(ウォーキング等)をする

○午後からでも学校に行く

という習慣をつけていくこともポイントとなります。

特に午後から学校に行くということで、完全な不登校の防止や疎外感、孤独感の軽減に役立つといわれています。

その他に「弾性ストッキングの使用」や「少し多めに塩分をとる」といった対策の指導をします。

このような地道は生活習慣の見直しを行っていくことで、自律神経が少しずつ整ってきます。

半年~1年、場合によっては2年くらいかかる場合がありますが、およそ8割くらいの方は日常生活に支障のないレベルまで回復していきます。

精神的なストレスの軽減も大きな要素ではありますが、起立性調節障害は治ります!

どうかあきらめらいでください。

次回は起立性調節障害に対する鍼灸治療についてお伝えします。

起立性調節障害の原因

今日は少し寒さも和らいでいるようですね。

晴天で気持ちがいいです。

さて、今日は起立性調節障害の原因についてお伝えします。

起立性調節障害の主な原因は、自律神経の乱れによって血液をうまく流せず、血圧が低下したままの状態になってしまうことだと考えられています。

これは指定の「新起立試験」と呼ばれる検査によって判別します。

10分程寝たまま安静にし、その後立ち上がって1分・3分・5分・7分・10分後に血圧や心拍数を計測していく検査です。

 

大きくは4つのタイプに分類されますが、最も多いのは「起立直後低血圧」という起立した直後に血圧が著しく低下する、又は血圧が回復しないタイプといわれています。。

通常 寝た状態や座った状態から立ち上がると、血液は重力によって下半身に移動するため、脳や心臓に戻る血液が足りなくなり血圧が低下し始めます。

すると交感神経が働き下半身の血管を収縮させ、心拍数を上げ血圧を上げようとします。

 

この働きを「代償機構」と呼びますが、起立性調節障害ではこの「代償機構」がうまく働かず血圧が低下したままの状態となり、めまいやふらつき、立ちくらみなどの症状がおこってくるのです。

つまり、交感神経と副交感神経の切り替えがうまく働かない状態になっているということです。

 

そして、起立性調節障害による交感神経と副交感神経の切り替えのズレは昼と夜の切り替えもうまくできないことが多く、様々な影響がでてしまいます。

健康な状態であれば、朝から夕方は交感神経が活動し、身体や脳は動きやすい状態になり、夜になると副交感神経が優位となり心身が休息しやすい状態をつくります。

しかし、起立性調節障害ではこの自律神経の切り替えがうまくできない状態なので朝は交感神経の働きが鈍く、また逆に夜になっても交感神経が優位な状態が続いてしまいます。

そのために寝付きが悪く、睡眠の時間帯がズレてしまい、朝は起きづらく、午前中は頭痛や倦怠感などがひどい等という悪循環となります。

 

自律神経が乱れ、うまく機能しない・・・

本人が一番つらい状態ですが、これは気力ではどうしようもないことなのです。

どうか子供さんを“怠け者”と思わず、気持ちを理解してあげて頂きたいと思います。

 

次回は起立性調節障害の治療についてお伝えしていきます。

起立性調節障害

今日から2月になりましたね。

あっという間に1ヶ月が過ぎてしまいました。

歳のせいか本当に月日が流れるのが早く感じるようになりました、、、

 

さて、今日は起立性調節障害という病気について。

 

昨日 常連の患者さんから「中学2年生の娘が起立性調節障害と診断された」というお話をお聞きました。

昨年の秋ごろから、朝起きるのがつらくなり、学校も休みがちになってしまい、病院に行って検査をしたところ「起立性調節障害」といわれたそうです。

主な症状は

・朝おきられない

・めまい・たちくらみ

・動悸、息切れ

・倦怠感、頭痛

・睡眠障害

・不安障害・・・ など心身に様々な症状が現れてきます。

 

起立性調節障害とは、自律神経失調症の一種で、思春期の子供に多く、日本では中学生の約10%に見られ、特に女子に多いといわれています。

午前中は体調が悪く、午後になるとだんだんと体調がよくなるため、回りからは“怠け病”と思われてしまい、本人にとってはとてもつらい病気です。

思春期の多くの人が患ってしまうのにあまり認知されていない病気のひとつだと思います。

次回から起立性調節障害の原因や治療法についてお伝えしていきます。